【ブラック情報は永遠に消えない】消費者金融の独自信用情報機関「レンダーズエクスチェンジ(LE)」とは

私は14年間消費者金融で審査業務に携わっていました。

消費者金融を利用する際、審査に大きく影響するのが個人信用情報です。よく知られているCIC、JICC、全銀協の3つの信用情報機関のほかに、消費者金融業界が独自に運用する「レンダーズエクスチェンジ(Lenders Exchange、通称LE)」という信用情報交換システムが存在することをご存知でしょうか。この記事では、消費者金融のキャッシングに特化した信用情報システムであるLEについて詳しく解説します。

レンダーズエクスチェンジ(LE)とは

レンダーズエクスチェンジ(以下、LE)は、日本貸金業協会が運営する消費者金融業界の信用情報交換システムです。LEは正式な信用情報機関ではなく、消費者金融会社間で情報を共有するための仕組みとして機能しています。

LEの基本的な特徴

  1. 運営主体:
    • 日本貸金業協会(全国貸金業協会連合会の後継組織)
    • 2007年の貸金業法改正に伴い、業界の自主規制団体として設立
  2. 加盟会員:
    • 主要な消費者金融会社(アコム、プロミス、アイフルなど)
    • 中小の貸金業者
    • 日本貸金業協会に登録している貸金業者
  3. 情報共有の目的:
    • 多重債務者の発生防止
    • 貸し倒れリスクの軽減
    • 業界全体の健全性維持

LEと他の信用情報機関の違い

LEは正式な信用情報機関ではなく、法的位置づけが異なります。以下が主な違いです:

項目 LE(レンダーズエクスチェンジ) 主要信用情報機関(CIC、JICC、全銀協)
法的位置づけ 自主規制団体の情報交換システム 個人情報保護法に基づく指定信用情報機関
情報の範囲 主に貸金業者間の融資状況 幅広い金融取引情報
情報開示 消費者が直接開示請求できない 消費者が開示請求可能
主な目的 業界内の情報共有 金融機関の与信審査
記録期間 業界内ルールによる 法律に基づく期間設定(約5〜10年)

LEに記録される情報

LEには、主に以下のような情報が記録されます:

記録される主な内容

  1. 基本情報:
    • 氏名、住所、生年月日
    • 勤務先情報
    • 電話番号など
  2. 契約情報:
    • 消費者金融との契約状況
    • 契約日、契約額
    • 貸付限度額
    • 返済状況
  3. 異動情報:
    • 延滞発生
    • 代位弁済
    • 債務整理(任意整理、自己破産など)
    • 強制解約

LEに特有の情報コード

LEでは、以下のような特有の情報コードが使用されます:

  • CL(Current Lending): 現在の借入状況
  • LE(Loan Extended): 貸付実行
  • OD(Over Due): 返済遅延
  • CB(Credit Bureau): 他の信用情報機関からの情報
  • DC(Debt Consolidation): 債務整理
  • RC(Repayment Completed): 完済

これらのコードは、消費者金融各社が審査を行う際の重要な判断材料となります。

LEが審査に与える影響

LEは消費者金融のキャッシング審査に大きな影響を与えます。

審査への具体的な影響

  1. 複数社からの借入チェック:
    • LEにより、複数の消費者金融からの借入状況が即時に確認できる
    • 総量規制(年収の1/3超の貸付禁止)の確認に利用される
  2. 延滞情報の共有:
    • 一社での延滞情報が他社でも確認できる
    • 延滞歴がある場合、他社でも審査が厳しくなる
  3. 申込履歴のチェック:
    • 短期間に複数社への申込履歴があると「多重申込」と判断される
    • 「多重申込」は審査通過を難しくする要因となる

LEに情報が記録される期間

LEの情報記録期間は明確に公開されていませんが、業界の慣行として以下の期間が一般的と言われています:

情報の種類 記録期間の目安
契約情報 契約終了から約5年
延滞情報 解消から約5年
債務整理 完了から約5~10年
申込履歴 申込から約6ヶ月~1年

※これらの期間は公式に公表されているわけではなく、実際の運用は各社の基準によります。

LEに関する注意点と対処法

LEの情報は消費者金融の利用において重要な影響を与えるため、以下の点に注意が必要です。

注意すべきポイント

  1. LE情報は直接確認できない:
    • LEは消費者に対する開示制度がない
    • 間接的に自分の情報を推測するしかない
  2. 情報更新のタイミング:
    • リアルタイムで更新される場合が多い
    • 返済直後でも即時に反映されないことがある
  3. 情報の連携:
    • LEの情報は他の信用情報機関(CIC、JICCなど)と連携している場合がある
    • 消費者金融での問題が銀行ローンなどにも影響する可能性

LEの情報に問題がある場合の対処法

  1. 延滞を即座に解消する:
    • 延滞している場合は、すぐに返済する
    • 返済が難しい場合は、消費者金融に相談して返済計画を立てる
  2. 各消費者金融に直接確認:
    • 自分のステータスについて、利用している消費者金融に直接問い合わせる
    • 審査結果の理由について説明を求める(詳細は教えてもらえない場合も多い)
  3. 主要信用情報機関の情報を確認:
    • CICやJICCの情報を開示請求して確認する
    • 消費者金融関連の情報から間接的にLEの状況を推測する
  4. 時間の経過を待つ:
    • LEの情報も永久に残るわけではない
    • 一定期間(約5年)経過すれば情報は削除される

LEで事故情報が消えても永遠に残る足跡

キャッシングで30日以上延滞、90日以上延滞、債務整理などで事故情報(ブラックリスト入)が発生します。このブラック情報は情報機関から一定の期間で消滅することがありますが、各業者で持つ顧客台帳は永遠に存続するため、一度ブラックになると永遠のその情報は消えません。

キャッシング専門の消費者金融が個人無担保で貸付する際の土台になる情報なので非常に厳しくかつ、細かい情報が保存されています。

審査している立場からみれば、過去ブラックの人には絶対に貸しません。

つまり、消費者金融でキャッシングにおいてブラック入りした場合、クレジットカードや信販ローンは組めても消費者金融でキャッシングすることは永遠に出来ないと思っていいでしょう。

LEの最新動向と今後の展望

消費者金融業界や信用情報システムは常に変化しています。LEについても以下のような動向があります。

現在の動向

  1. システムの精緻化:
    • より詳細な個人情報分析が可能に
    • AIや機械学習を活用した審査システムとの連携
  2. 情報連携の強化:
    • 他の信用情報機関との情報連携の強化
    • より包括的な信用情報の構築
  3. 透明性向上の動き:
    • 消費者保護の観点から、情報開示の仕組みを整備する動き
    • 業界としての自主規制の強化

利用者として知っておくべきこと

  1. 健全な借入習慣の重要性:
    • 複数の消費者金融から短期間に借り入れない
    • 返済は必ず期日までに行う
  2. 総量規制の理解:
    • 年収の1/3を超える借入はできない
    • LEはこの規制を守るためのチェック機能を果たしている
  3. 代替手段の検討:
    • LEに問題がある場合、銀行カードローンなど他の借入手段を検討
    • 信用情報の回復には時間がかかることを理解しておく

まとめ:LEを知って賢く消費者金融を利用する

レンダーズエクスチェンジ(LE)は消費者金融業界独自の信用情報交換システムとして、業界内での情報共有に重要な役割を果たしています。LEに記録される情報は、消費者金融のキャッシングを利用する際の審査に大きな影響を与えるため、その仕組みを理解しておくことは重要です。

返済を遅延なく行い、多重債務を避け、計画的な借入を心がけることで、LEに好ましくない情報が記録されるリスクを減らすことができます。万が一問題が発生した場合でも、適切に対処し、時間をかけて信用を回復させることが可能です。

消費者金融を利用する際は、LEの存在を意識し、賢く責任ある借入行動を心がけましょう。