自己破産や債務整理をすると、クレジットカードが作れなくなりますよね。それに伴って、ETCカードも使えなくなってしまう
ETCパーソナルカードは辛かった話
個人再生のあと、カードが作れないので私は12年間もETCパーソナルカードというものを使ってました。
しかし、ETCパーソナルカードには保証金の役割をするデポジットという積立金のようなものが必要で、高速道路の利用料金によってこのデポジットが高くなり、私は12万円も積み立てることに鳴りました。
そこで、個人でも個人事業主になることでこの審査なしで作れるETC法人カード(個人事業主OK)
が作れることを知って愕然としました。
こちらは最初に登録金1万円ポッキリ。解約時にこれも返金あり。
自己破産、債務整理後でETCカード作るなら個人事業主になって法人ETCカード(審査なし)を作るのが一番いいです。
では、
全体的に解説しますね。
自己破産するとETCカードはどうなる?
自己破産の申立てをすると、使用していたクレジットカードに附帯したETCカードは使えなくなります。弁護士に自己破産の申立てを依頼した後、弁護士が送付した受任通知がクレジットカード会社に届いた時点で、ETCカードは使えなくなります。
これは、自己破産の申立てをするときは、すべての債権者を裁判所に申告しなければならないからです。「ETCカードだけは使いたい」からといって、クレジットカード会社を手続きから除外することはできません。
自己破産後、新たにETCカードは作れる?
では、自己破産後に新たにETCカードを作ることはできるのでしょうか?
自己破産後5~10年間は、クレジットカードに附帯する一般のETCカードは作れません。自己破産をすると、信用情報機関に事故情報が登録されるため、新規クレジット契約・ローン契約等ができなくなるからです。
信用情報機関に登録された事故情報が抹消された後であれば、クレジットカード契約の申込みができるようになり、ETCカードも利用可能になります。ただし、過去に取引のあった金融機関やクレジットカード会社では、個別の記録が残っているため、社内ルールにより新規発行を断られることもあります。
自己破産後でも審査なしでETCを利用する方法
自己破産後もETCを利用したい場合、どうすればよいのでしょうか?主に3つの選択肢があります。
審査なし ETCパーソナルカードを利用する
ETCパーソナルカードとは、NEXCO(中日本/東日本/西日本)をはじめとする高速道路会社で発行しているETC専用のカードです。保証金(デポジット)を預託することで、有料道路で使えるETCカードを発行してもらえます。原則として審査不要なので、自己破産後も申込みできます。
ETCパーソナルカードの特徴をまとめると:
項目 | 内容 |
---|---|
発行元 | NEXCO(高速道路会社) |
審査 | 原則として不要 |
保証金 | 平均利用月額の4倍程度必要 |
メリット | 債務整理後でも申込可能 |
デメリット | まとまった保証金が必要 |
このETCパーソナルカードの最大のデメリットは、保証金(デポジット)が必要なことです。保証金が必要などの条件があるため、事前に弁護士へ相談して自己破産後の生活もシミュレーションしておくとよいでしょう。
特に個人事業主の方にとって、このデポジットは大きな負担になる可能性があります。そこで次に紹介するのが法人ETCカードです。
審査なし 法人ETCカードを利用する
個人事業主や法人の方であれば、法人ETCカードという選択肢もあります。
法人経営者や個人事業者向けに発行されているのが、法人ETCカード、ETCコーポレートカードです。クレジット機能はないため、与信審査は必要ありません。法人ETCカードは、ETC協同組合や高速情報協同組合などが発行しています。
名前に”法人”と入っていますが、個人事業主の方でも発行が可能ですので安心してください。また、ETCパーソナルカードとは異なり、デポジットは必要ありませんが出資金として1万円(脱退時に返金)が必要です。
法人ETCカードの特徴をまとめると:
項目 | 内容 |
---|---|
発行元 | ETC協同組合、高速情報協同組合など |
対象者 | 法人、個人事業主 |
審査 | クレジット審査なし(組合独自の審査あり) |
必要費用 | 出資金(1万円程度・脱退時返金) |
発行手数料 | 880円/枚(税込)程度 |
年会費 | 880円/枚程度 |
その他費用 | 利用料の約8%の事務手数料 |
ETC協同組合の「ETC専用カード」はクレジット審査なしで発行できる便利な法人ETCカードです。休日割引30%・深夜割引30%・平日朝夕割引最大50%など、走る曜日や時間帯に合わせてお得な割引が用意されています。
ETCパーソナルカードと比較すると、デポジットが不要で出資金で済むため初期コストが抑えられるメリットがあります。また、レンタカーやカーシェアリングでも利用可能なのでETCカードを1枚だけ持っておきたい場合にも便利です。
審査なし ETCコーポレートカードを利用する
ETCコーポレートカードも、法人・個人事業主向けの選択肢の一つです。
ETCコーポレートカードと同じくクレジット機能がついていないので、クレジット審査不要で発行できます。ETCコーポレートカードと違い、ETCマイレージサービスのポイントが貯まるのが大きな特徴です。
ETCコーポレートカードの特徴をまとめると:
項目 | 内容 |
---|---|
発行元 | 高速道路会社、協同組合など |
対象者 | 法人、個人事業主(大口・多頻度利用者向け) |
審査 | クレジット審査なし |
特徴 | 1枚につき1台の車両登録が必要 |
メリット | 大口割引などの特典あり |
デメリット | ETCマイレージサービス利用不可 |
コーポレートカードは大口利用者のために作られたカードなので、毎月の利用額が多い人に向いています。協同組合で申し込んだコーポレートカードの大口・多頻度割引は、首都高速、阪神高速に限られます。
個人事業主になって法人ETCカードを作るメリット
自己破産や債務整理後にETCカードを作りたい場合、個人事業主になって法人ETCカードを作るのが最もコスパの良い選択肢であることがわかりました。ここからは、どうやって個人事業主になるのか、そのメリットなどについて詳しく見ていきましょう。
個人事業主になるための手続き
個人事業主になるための手続きは意外と簡単です。主に必要なのは「開業届」の提出です。
開業届とは、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、個人として何らかの事業を始めたり廃業したりする際、その旨を所轄の税務署に届け出る際に提出が義務付けられている書類のことを指します。
開業後1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出してください。
開業届の提出に必要なものは以下の通りです:
- 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
- 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
- 印鑑(任意)
開業届の用紙は、税務署の窓口で入手するか、国税庁のWebページ「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」からダウンロードできます。
提出方法は以下の3つがあります:
- 税務署窓口での提出
- 郵送による提出
- オンライン(e-Tax)による提出
開業届を提出する際には、本人確認書類とマイナンバーが確認できる書類が必要です。マイナンバーカードがあれば、それのみで本人確認とマイナンバーの確認として使用できます。
開業届を提出するメリット
開業届の提出は法的に義務付けられていますが、罰則はないため提出しない人もいます。しかし、提出にはいくつかのメリットがあります。
開業届を出すということは、自分個人の仕事が世間的にも認知されるということです。そのため、開業届に記載した屋号(会社名のようなもの)を使って、銀行口座を開くことが可能です。
また、青色申告を行うためには開業届の提出が必須です。
開業届の提出後に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すことで、確定申告で青色申告が可能になります。青色申告の場合、最大で65万円の「青色申告特別控除」を受けることができます。
さらに、開業届の控えは、事業の証明として様々な場面で使えます。
控え用の開業届は金融機関などから融資を受ける際に必要な書類なので大切に保管するようにしましょう。
個人事業主の屋号について
開業届には「屋号」を記載する欄があります。
屋号とは店や事務所の名前のことです。個人事業でも名前をつけられます。屋号はつけなくても構いません。屋号が決まっていれば開業届に書きますが、開業届を出した後に屋号をつけても構いません。
ただし、屋号をつける際には以下の点に注意しましょう。
個人事業の屋号に「会社」はつけられません。また、「ソニー」のような有名企業と紛らわしい名前や、他社の商標権を侵害する名前もやめましょう。
ETC協同組合への申し込み方法
個人事業主として開業届を提出したら、次はETC協同組合に申し込みを行いましょう。
ETC協同組合の法人ETCカードは、どのお車でも利用可能です(レンタカー・カーシェアリング等限定なし)。法人ETCカードをご利用頂く事によりETCマイレージサービスを受けることができます。
ETC協同組合の法人ETCカード申し込みに必要な費用は以下の通りです
費用項目 | 金額 |
---|---|
出資金(脱退時返金) | 10,000円/1社 |
カード発行手数料 | 880円(税込)/1枚 |
年間手数料 | 880円/1枚(年1回) |
事務手数料 | 毎月の走行料金に対して8% |
自営業やフリーランスでも法人ETCカードを申請できますか? 可能です。開業して既に確定申告を行っている方は直近の確定申告書の控えをご準備ください。また、開業したばかりでまだ確定申告を行っていない方は事業確認物として開業届や契約書類の写しなどで申請が可能です。
この情報から、開業届を出したばかりの状態でも、法人ETCカードの申請が可能だということがわかります。
ETC協同組合の法人ETCカードの主なメリット:
- クレジット審査なしで発行可能
- ETCマイレージサービスが利用可能
- 様々な割引(休日割引30%、深夜割引30%など)
- 複数の車両で使用可能
- デポジット不要(出資金は脱退時に返金)
自己破産後のETCカード選びのポイント
自己破産後にETCカードを選ぶ際のポイントをまとめておきましょう。
ETCパーソナルカード vs 法人ETCカード
項目 | ETCパーソナルカード | 法人ETCカード |
---|---|---|
対象者 | 個人 | 法人・個人事業主 |
審査 | 原則不要 | クレジット審査なし |
初期費用 | デポジット(利用額の4倍程度) | 出資金1万円程度(返金あり) |
維持費 | 無料~低額 | 年会費+事務手数料 |
割引 | 一般的なETC割引 | 各種割引あり |
ポイント | ETCマイレージ対応 | ETCマイレージ対応 |
使用制限 | 原則名義人のみ | 車両制限なし |
個人事業を営んでいる人はETC法人カード、ETCコーポレートカードの両方が使えますが、利用頻度や高速エリアによってどちらが得かは変わってきます。
上記を踏まえると:
- 個人で高速道路利用が少ない方:ETCパーソナルカード
- 個人事業主で頻繁に高速道路を利用する方:法人ETCカード
- 法人で特に大口利用の方:ETCコーポレートカード
が適していると言えるでしょう。
まとめ:自己破産後もETCカードを持つ方法
自己破産や債務整理後もETCカードを持つ方法をまとめると:
- ETCパーソナルカード:個人でも利用可能。デポジットが必要だが審査は原則不要。
- 法人ETCカード:個人事業主・法人向け。デポジット不要だが出資金が必要。クレジット審査なし。
- ETCコーポレートカード:大口利用者向け。車両ごとに登録が必要。
自己破産後も高速道路をよく利用する方、特に事業で利用する必要がある方は、開業届を提出して個人事業主になり、法人ETCカードを作るのがコスパ面でも使い勝手の面でもおすすめです。
債務整理後でもあきらめることなく、ライフスタイルや事業スタイルに合わせたETCカードを選んで、高速道路をスムーズに利用しましょう。